みなさんこんにちは。
本日は、イボイモリの生態についてまとめていきたいと思います。
イボイモリは学名「Echinotriton andersoni」と言います。
英語では、「Anderson’s crocodile newt」「Anderson’s newt」「Anderson’s salamander」「Japanese warty newt」「Ryukyu spiny newt」と実に5種類もの呼び名があります。
今回は、イボイモリについてのポイント、
以上9個の点についてお伝えします。
それでは、イボイモリの写真(画像)を見ていきましょう!
目次(クリックで飛べます)
イボイモリの写真(画像)!特徴や性格は?なつくの?成体数はどれくらいいるの?天敵はだれ?
写真がイボイモリの成体です。
国内唯一のイボイモリ属であり、ほぼ完全な陸棲種です。
イボイモリ類はミナミイボイモリの様に体色が明るい種類は人馴れし陽気な性格ですが、地味な体色になるにつれ、やや臆病で陰性が強くなります。
イボイモリも例外ではなく臆病で、高温多湿の森林地帯の土壌を好み、うっすら影がかかる様な環境を好んで選択します。
体側(腹部と背部の境目)には6〜11ほどの突起が対になっており、イボイモリの名称はこの特徴から名付けられました。
イボイモリは両生類としては珍しく、肋骨が発達しています。
そのためイボ状の突起を持ち、威嚇行動として、まるで傘の様にその肋骨を広げて身を守ります。
イボイモリの最も特徴的な面は、産卵すら陸地に行うことです。
水場近くの湿った苔・落ち葉などに産卵し、幼生はジャンプしたり雨水に流せれたりと、独力で水場までたどり着きます。
イモリの仲間の成体は軽微な有毒種が多く、捕食者等の天敵はほぼ皆無です。
ただ近年はリゾート開発による熱帯雨林の消失、繁殖に使う沼や池が埋め立てられ、急速に個体数が減少しています。
イボイモリの成体の天敵は人間と言っていいのではないでしょうか?
幼生時代は水生昆虫や同種による共食い、カニ等の在来甲殻類が天敵でしたが、絶滅に繋がることはなく上手くバランスが取れていました。
近年は人為的に持ち込まれた「アメリカザリガニ」「大型熱帯魚」などの外来種に幼生が食い尽くされてしまうという事態に陥っています。
これらからワシントン条約での商取引の全面禁止、沖縄県・鹿児島県指定の天然記念物、環境省・ICUNでは共に「絶滅危惧種II類」であるVNにカテゴライズされます。
現在では触れることさえ違法なので、旅先で見かけてもそっとしておいてあげましょう。
イボイモリはかつて、その分布域ではどこでも目にすることができました。
しかし夜間に車道に出て轢死したり、雨水用の側溝に落ち脱出できず死亡するケースが後をたちません。
すでに20年以上もの間姿が確認できていない地域もあり、野生の個体数は1000匹は切っているのでは?と言われています。
詳細な調査が本格的に行われていないので、現状は野生下個体数の確実な数字は不明瞭と言わざるを得ません
次は、イボイモリの生息地(分布)をお伝えします!
イボイモリの生息地(分布)はどこなの?沖縄にいるの?天然記念物や絶滅危惧種なの?
写真はイボイモリの野生下での産卵場所です
イボイモリの分布域は沖縄本土・奄美大島・瀬底島・渡嘉敷島・徳之島・請島の6箇所のみです。
国の天然記念物ではありませんが、鹿児島県・沖縄県指定の天然記念物です。
瀬底島の個体群は移入の可能性があり、繁殖等に用いる限定的な環境が急減少しており、生息数は激減しています。
渡嘉敷島・請島のイボイモリはそもそも生息確認すら非常に困難です。
渡嘉敷島のイボイモリは、1986年に発見された礫死体が最後の生息確認であり、以降目撃例はありません。
沖縄本土・徳之島・奄美大島が最大分布地ですが、沖縄は開発が盛んでありリゾートで特に人気のある南部地方ではほぼ絶滅に近い状態です。
徳之島・奄美大島が現状、イボイモリが変わらず個体数を維持している唯一の場所となります。
しかし徳之島は今後開発予定の地域が乱立しており、保護活動の目処も立っていないので、確実に激減することでしょう。
反対に奄美大島はイボイモリの最後の砦です。
原生林や水溜りなど、鬱蒼とした環境が多いこの島はイボイモリにとってかなりの好適環境であり、今なお多数のイボイモリが生息しています。
前項で述べた様にイボイモリは国内・国際的にも絶滅危惧種II類に指定されています。
今まさに絶滅の危機に瀕しているイモリと言えるでしょう。
分布域の補足ですが、台湾の一部地域にイボイモリが生息するという話がありますが、その証拠は現状では取れていません
次に、イボイモリの大きさと寿命をお伝えします!
イボイモリが成体になると最大でどれくらいの大きさに成長する?寿命は?
イボイモリはメスの最大全長が20cmほどになる中型イモリです。
オス個体も15〜18cmほどと、一回り小さくはありますが、イモリとしては大きめといえます。
ただ尾の長さも含めるので実際の印象は、そこまで大きく感じません。
最大寿命は10年と言われています。
次は、イボイモリの飼育(飼い方)方法をお伝えします!
イボイモリの飼育(飼い方)方法は?飼育ケージの選び方も!
稀にイボイモリを個人飼育している方がいますが、そういった方は全て天然記念物指定前の採取個体です。
現在、イボイモリの捕獲・飼育・売買は法的罰則があります。
前科がついてしまうので野生個体は決して持ち帰り飼育は決して行わないで下さい。
大学や水族館等の研究機関の飼育方法を参考に載せておきます。
イボイモリ飼育の目安として、ケージは60cm規格水槽に準拠します。
野生下ではイボイモリは降雨後や繁殖期等の夜間は動き回ることもありますが、基本は気に入ったシェルターなどから離れずにジッとしています。
ですのでそれ程大きなサイズのケージは必要ありません。
イボイモリの最大全長は20cmですが、その半分ほどが尾です。
そのため数字から感じるほど大型ではなく、過剰なケージの大きさも必要ありません。
自然界の環境から底に敷くのは腐葉土などがベストです。
大磯砂やキッチンペーパーも使えなくはないでしょう。
腐葉土等の雑菌が気になる方は、パックに入れ電子レンジで充分暖めましょう。
クマムシなど特殊な動物を除き、電子レンジ内のマイクロウェーブ波で生存できる生命体はほぼいません。
家庭で滅菌するのには一番最適な方法です。
流行が収まったとは言え「カエルツボカビ病」の脅威は記憶に新しい所です。
100%の両生類が死に至る致命的な感染症なので、イボイモリだけでなく他の両生類の器具や底砂などは滅菌してから廃棄しましょう。
この点でも電子レンジは本当に重宝します。
イボイモリは温帯域に生息するので温度や湿度は若干他種より高めにします。
ただ30℃を超える環境と多湿には弱いので、この環境が続くと衰弱してしまいます。
冬場はマットフィルターなどで16~18℃ほどを維持し、夏場は25℃を超えない安全圏を保ちましょう。
紫外線や強い光には弱いので、爬虫類用のライトを流用するのはお勧めしません。
湿度はケージがビシャビシャにならない程度の量を、季節に応じ一日1~3回ほど霧吹きして保ちます。
水場を用意しておくのも便利でしょう。
大き目の水場を用意しておくと、いつの間にか産卵をしていることさえあるそうです。
次は、イボイモリの餌と量や頻度をお伝えします!
イボイモリの餌と量や頻度はどうする?どう餌やりすればいい?
イボイモリだけでなく、有尾類は代謝の遅い生き物です。
一部の種を除き、満腹になると餌を拒絶するので「量」に関しては与えすぎるということはないでしょう。
「頻度」についても同様で、イボイモリ自身が取捨選択します。
これがイボイモリの養殖個体となると少し話が異なります。
一般にイボイモリ等の有尾類は、人工養殖を経るにつれ、野生味が薄れ人馴れしやすい個体となります。
ウーパールーパーが最たるものです。
この様な養殖個体は「これじゃ少なすぎるのでは?」と思うくらいに給餌量を留めましょう。
餌やりの回数も種によりますが、週に2~3度ほどで事足ります。
もしこの方法でイモリが痩せていく様でしたら、順次給餌頻度や量を増やしてあげましょう。
イボイモリ等の代謝の少ない生き物は、粗食に強く過食に弱い生き物です。
一度に多量に餌をあげると「食滞」という、体内の餌が消化吸収できない状態になることがあります。
この食滞はある意味飢餓状態と同じです。
肝心の餌をあげても、消化吸収できずに「餓死」してしまうんですね。
蛇足ですが、変温動物である哺乳類のナマケモノが良い例で、彼らは1日5〜6gの葉で命を繋ぎます。
ナマケモノもイボイモリ同様に極端に代謝が低く、食滞による餓死が起きてしまうからです。
イボイモリは自然界では陸生巻貝や昆虫・節足動物、オタマジャクシ・ワラジムシなどの陸生甲殻類・ナメクジ・ミミズ等の土壌生物を主食とします。
流通に乗る活餌や冷凍餌はほとんど流用が効くことでしょう。
次は、イボイモリの性別雌雄(メスオス)の見分け方をお伝えします!
イボイモリの性別雌雄(メスオス)の見分け方は?
イボイモリの雌雄判別はその全長である程度の目処がつきます。
メスの方が大柄で全長約20cm、オスは一回り小さく15〜18cmほどです。
ただこれだけではかなりの確率で誤認します。
最終的には総排泄口の形状で見分けて下さい。
成熟するとオスの総排泄口は精嚢を作るため肥大化します。
反対にメスの総排泄口は精嚢を受け取るため、通常と変わらず肥大化しません。
次に、イボイモリの繁殖の時期や産卵の時期をお伝えします!
イボイモリの繁殖の時期や産卵の時期はいつ?
写真は水場に辿り着こうとする孵化直後の幼生です。
イボイモリは例年1〜4月に繁殖・産卵期を迎えます。
徹底して入水せずオスは精嚢を苔などの上に落とし、メスはそれを取り込み体内受精します。
さらに産卵場所すら水中ではなく陸上です。
落ち葉などが集まった湿った窪み、水際の苔の上などに一卵づつまとまった数を産みつけます。
孵化した幼生は自力で跳ねたり、雨水で流されることにより水場に辿り着くというわけです。
次は、イボイモリの販売価格や値段をお伝えします!
イボイモリの販売価格や値段はどれくらいなの?
現在「売ってはならない」生物です。
国家法としては「種の保存法」、条例としては沖縄県・鹿児島県の「天然記念物に関する条例」、国際的にはワシントン条約により罰則が規定されています。
日本産のイボイモリの売買は法を犯さないと不可能なので、そもそも値段はないと言えます。
ただ大陸側の各種イボイモリはペット流通しているので、そちらにはもちろん値が付いていますよ。
外国産イボイモリは2010年代中頃から、各国の保護意識が強まり、頻繁な流通がなくなり値段も高騰しています。
メジャー種であるミナミイボイモリ・コイチョウイボイモリは5〜7,000円ほどで購入できましたが、2021年現在は一万円をオーバーすることが殆どです。
それでは最後に、イボイモリの種類や品種をお伝えします!
イボイモリの種類や品種はなにがいるの?
日本に生息するイモリは、イモリ属のアカハライモリ・シリケンイモリ、イボイモリ属のイボイモリのみです。
そのため国内種だけ見れば一種類のみと言えます。
当然ながら品種改良等はなされていません。
イボイモリは繁殖させることさえ困難だからです。
ただ大陸側、中国には同じイボイモリ属の「チュウゴクイボイモリ」「シセンイボイモリ」の2種類が分布します。
ミナミイボイモリ等のメジャー種はミナミイボイモリ属なので、かなり近しいのですがあくまで近縁種となります。
それでは、今回お伝えしたことをまとめていきましょう!
イボイモリのまとめ!
いかがでしたでしょうか?今回お伝えした重要なポイントは9個ありました。
覚えているでしょうか?1個ずつ振り返っていきましょう!
①イボイモリの写真(画像)!特徴や性格は?なつくの?成体数はどれくらいいるの?天敵はだれ?
イボイモリは肋骨が非常に発達した原始的なイモリで、腹部と背部の境界線に並ぶ複数個の「イボ」が最も特徴的です。
性格は陰性傾向が強くかなり不活発です。
なつくといようり観察の対象となる生物でしょう。
成体数は本格的な調査が行われておらず不明ですが、1000匹は下回るのではないでしょうか。
生体の天敵は人間、幼生は各種外来生物です。
②イボイモリの生息地(分布)はどこなの?沖縄にいるの?天然記念物や絶滅危惧種なの?
沖縄本土・奄美大島・瀬底島・渡嘉敷島・徳之島・請島の6島に生息します。
沖縄県・鹿児島県独自の天然記念物で、国外・国内ともに絶滅危惧種II類に指定されています。
③イボイモリが成体になると最大でどれくらいの大きさに成長する?寿命は?
全長20cmのメスが最大サイズです。
寿命は概ね10年と言われています。
④イボイモリの飼育(飼い方)方法は?飼育ケージの選び方も!
原則飼育すると犯罪ですが、研究機関では60cm水槽準拠のケージで飼育しています。
天然記念物指定前の個体飼育者の話では、かなり不活発…動かない生き物で、冬場は室温に合わせ夏場は25℃以下がベストだそうです。
餌はショップの活餌が流用可能です。
ケージ底には落ち葉などの腐葉土がベストですが、感染症・メンテナンス等を加味し、大磯砂やキッチンペーパーも使用可能です。
完全陸生種で多湿を好むので、乾燥には気をつけて下さい。
⑤イボイモリの餌と量や頻度はどうする?どう餌やりすればいい?
基本はイボイモリが決めますが、急激に気温が下がると消化しきれず「食滞」状態になります。
そのため冬場前などの過剰な餌やりは控えましょう。
注意深く体型を観察し、太った状態をキープしてあげます。
一度痩せてしまうとリカバリーはかなり困難です。
⑥イボイモリの性別雌雄(メスオス)の見分け方は?
全長でおおよその目星をつけ、総排泄口の形状で最終判断をして下さい。
⑦イボイモリの繁殖の時期や産卵の時期はいつ?
現地では1〜4月ごろが繁殖・産卵期となります。
本州地方の個人飼育者の繁殖例を聞いても、この季節が一番繁殖に適しているそうです。
⑧イボイモリの販売価格や値段はどれくらいなの?
あらゆる法律や条約で守られていますので、2021年現在商用流通は完全にありません。
そのため価格は「なし」というのが正しいでしょう。
⑨イボイモリの種類や品種はなにがいるの?
国内種ではイボイモリ一種のみです。
また繁殖すら困難なので品種改良等は一切行われていません。
中国に同じイボイモリ属の「チュウゴクイボイモリ」「シセンイボイモリ」の2種が生息しています。
それでは今回はこれで失礼します。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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