みなさんこんにちは。
本日は、クロウミガメの生態についてまとめていきたいと思います。
クロウミガメはカメ目ウミガメ科アオウミガメ属の一種であり、一般的にはアオウミガメの亜種とされています。
独立種と主張する説もあり、亜種「Chelonia mydas agassizii」独立種「Chelonia agassizii」と名付けられ、2つの学名を持ち、分類的にも難しいポジションのウミガメとも言えます。
本項ではややこしさ回避のため、アオウミガメの亜種としてご紹介していこうと思います。
今回は、クロウミガメについてのポイント、
以上5個の点についてお伝えします。
それでは、クロウミガメの写真(画像)を見ていきましょう!
目次(クリックで飛べます)
クロウミガメの写真(画像)!特徴や性格は?個体数はどれくらいなの?英語名はなに?
こちらがクロウミガメの写真です。
クロウミガメはその名の通り、灰褐色〜黒色の甲色・腹甲をもちます。
基亜種のアオウミガメは甲色がやや明るめで甲板もクッキリとし、腹甲はやや黄色味がかかります。
アオウミガメに比べて、クロウミガメの方が一回りほど小さく、これらの特徴から両者は簡単に見分けがつきます。
その食性は植物食傾向が強く、アオウミガメ同様に海面を漂う海藻や海草などの海水生植物を好んで口にします。
沿岸性のウミガメであり、甲長が40cmほどになると流れの緩い沿岸部の浅瀬に住み着きます。
潮が満ちると岩陰などに身体を隠し休息を取ります。
休息以外にも干潮時には体表につく細菌・寄生虫を食べてくれる「クリーニングフィッシュ」(ホンソメワケベラなどが有名ですね)が多く生息する「クリーニングステーション」と呼ばれる場所に姿を見せます。
このような魚の集まる場所をよく記憶しており、クリーニングフィッシュを用いて健康を維持する「相互共生」を築いているんですね。
クロウミガメの性格は他のウミガメと酷似し、ノンビリとしています。
植物食という事もあり、その危険性はかなり低いでしょう。
現在クロウミガメは減少傾向にあると言われていますが、正確な調査データは2001年以降、実に20年もの長期に渡り一切行われていません。
その時の調査では子孫を残せる年齢のメスガメが、約3,000頭ほどというデータが残っています。
ちなみに沖縄県にある世界的に有名な「美ら海水族館」では、2017年にクロウミガメの人工繁殖に成功しています。
今後に期待が持てる非常に明るい話題ですね!
クロウミガメは和名と英名が同じ意味を持ちます。
和名は漢字で「黒海亀」カタカナ表記で「クロウミガメ」と書き見た目そのものですが、英名もまた「Black turtle:黒いカメ」です。
英名・和名共に非常に覚えやすいでしょう。
次は、クロウミガメの生息地(分布)をお伝えします!
クロウミガメの生息地(分布)はどこなの?どこの水族館にいる?
クロウミガメの分布域は、基亜種アオウミガメとの生息地と重なることはありません。
主生息域は太平洋東部…つまりアメリカ大陸西海岸の沿岸域です。
他にはエチオピア領ガラパゴス諸島・アメリカハワイ州・メキシコ東部の沿岸域で見られる事もあります。
基本的には熱帯・亜熱帯海域の定住種なので、日本国内では見られません。
しかし過去には西表島近海・沖縄本島で数回の確認例があります。
八重山諸島や岩手県三陸沖での発見例さえ記録されています。
クロウミガメ目撃・確認の回数の少なさから、国内での発見個体は死滅回遊魚のように、たまたま潮流に巻き込まれ迷いついた個体と推測されています。
更に国内沿岸にはクロウミガメの定住地域は確認されていません。
日本国内でクロウミガメを飼育している水族館はごくわずかです。
2021年現在では「美ら海水族館」が種の保存も考慮した、先進的な飼育を行なっており人工繁殖にも成功しています。
その他、愛知県「南知多ビーチランド」・徳島県「日和佐うみがめ博物館カレッタ」・兵庫県「神戸市立須磨海浜水族園」・高知県「むろと廃校水族館」で飼育されており、美ら海水族館も入れると、たった5つの水族館でしか見ることはできません。
次に、クロウミガメの大きさと寿命をお伝えします!
クロウミガメが成体になると最大でどれくらいの大きさに成長する?寿命は?
クロウミガメはウミガメの仲間ではかなり小型になる種類です。
甲長は50〜80cmほどで、ウミガメの仲間の最小種「ヒメウミガメ:全長40〜70cm」より一回り大きいほどで、かなりの小型種ということが分かるでしょう。
寿命については追跡調査のあまりの乏しさに加えて、熱心な飼育を行なっている水族館も少なく、不明な点が多いです。
ただし、基亜種である「アオウミガメ」の最高年齢は実に200才!
野生下でも平均80年は生きるとされています。
その亜種であるクロウミガメはアオウミガメより一回り小さい程度のウミガメです。
そして、さらに小さいヒメウミガメですら平均寿命が50年と長寿になります。
これらを加味すると、あくまで想像ですがクロウミガメの野生下個体は最低でも50〜80年ほどは生きるのではないでしょうか?
数も生態もまだまだ調査が足りないクロウミガメです。
今後、幅広い研究が進みクロウミガメの生態を洗い出し、詳細なデータに繋がることを期待するほかありません。
次は、クロウミガメはなにを餌にしているのかをお伝えします!
クロウミガメはなにを餌にしているの?
クロウミガメはアオウミガメと同じく完全な草食性のウミガメです。
波間を漂う藻類や、海底から生えている水草・サンゴや岩礁などに密生している海ゴケなどを固い口吻で削り取って餌にしています。
ただごく稀にですが、ミズクラゲなどの浮遊生物も口にする事がある様です。
それでは最後に、クロウミガメはどんな種類がいるのかをお伝えします!
クロウミガメはどんな種類がいるの?アオウミガメとの違いはなに?
両種の比較画像で、写真左がクロウミガメ、写真右がアオウミガメです。
クロウミガメの種類は分類学的には基亜種である「アオウミガメ」が近縁種と言えます。
独立種とする声は少数派なので本項では、アオウミガメの亜種として紹介しています。
ですがごく稀に雑種…いわゆるハイブリッド個体がアオウミガメとクロウミガメ間で誕生する事があるんです。
生息域が大幅に異なる2種ですが、遺伝子解析によりハッキリと交雑種として証明されています。
一体どこで交ざってしまったのでしょうか?非常に興味深い減少です。
ただ交雑種の確認例は国内で数件ほどと、極めて稀な例となり、頻繁に交雑する訳ではありません。
ハイブリッドを種として数えていいのか?と思いますが…仮に数に入れたとすると、クロウミガメ本種を入れて3種類の近縁種?がいるとも言えるでしょう。
学問としての分類学ではハイブリッド個体は考慮しないようなので、2種類と考えるのがどうやら正道のようです。
若しくはクロウミガメを独立種と考えた場合ですが、この場合は完全に1種類と見做されるでしょう。
またクロウミガメ自体は、生息域により個体群の身体的特徴や形態の差が著しく異なりますが、基本的には全て同一種のクロウミガメとカウントしています。
基亜種アオウミガメとの差ですが、やはり1番は体色でしょう。
黒海亀と呼ばれる様に上部から見るとほぼ黒褐色のクロウミガメに対し、アオウミガメは明るめの甲色を持ち一つ一つの甲板のコントラストも明瞭です。
裏返すと差は一目瞭然で、アオウミガメの腹甲は全体に黄色みがかかりますが、クロウミガメのそれは中心部が僅かに黄色いか黒一色となります。
身体の大きさも歴然でクロウミガメが甲長50〜80cmと小柄に対し、アオウミガメは平均値が1mオーバーです。
そしてアオウミガメの甲羅は全体的に丸みが入るのに対し、クロウミガメは尾部に行くにつれ甲羅が先細りします。
この様に基亜種・亜種の関係性にある両種ですが、実はかなりの差があるんですね。
それでは、今回お伝えしたことをまとめていきましょう!
クロウミガメのまとめ!
いかがでしたでしょうか?今回お伝えした重要なポイントは5個ありました。
覚えているでしょうか?1個ずつ振り返っていきましょう!
①クロウミガメの写真(画像)!特徴や性格は?個体数はどれくらいなの?英語名はなに?
沿岸域に定住するウミガメで、基本的に穏やかな性格です。
漢字表記「黒海亀」が示す様にほぼ黒褐色の体色が特徴的です。
アオウミガメの亜種であり、食性は植物食と共通点が多く見られます。
英語名は「Black turtle」です。
②クロウミガメの生息地(分布)はどこなの?どこの水族館にいる?
主生息域は太平洋東部…アメリカ大陸西海岸の沿岸域です。
他にエチオピア領ガラパゴス諸島・アメリカハワイ州・メキシコ東部の沿岸域にも生息します。
国内では沖縄「美ら海水族館」・愛知県「南知多ビーチランド」・徳島県「日和佐うみがめ博物館カレッタ」・兵庫県「神戸市立須磨海浜水族園」・高知県「むろと廃校水族館」の5つの水族館で飼育されています。
③クロウミガメが成体になると最大でどれくらいの大きさに成長する?寿命は?
最大甲長80cmにまで成長します。
明確な記録はありませんが概ね50〜80年の間が寿命と推測されます。
④クロウミガメはなにを餌にしているの?
基本は完全草食性で藻や水草・岩肌についたコケ等を主食にし、稀にクラゲ等を捕食することもあります。
⑤クロウミガメはどんな種類がいるの?アオウミガメとの違いはなに?
基亜種アオウミガメとその交雑種を加味する場合は3種類とも言えますが、基本はクロウミガメ単体の1種、あるいは基亜種アオウミガメを加えた2種と数えられます。
アオウミガメの方がメーターオーバーの甲長を持ち巨大になります。
体色はクロウミガメの黒褐色・腹甲の黄色の少なさに対し、アオウミガメのコントラストの強い茶褐色の甲板・ほぼ全体に黄色みがかかる腹甲という、その外見に大きな違いがあります。
それでは今回はこれで失礼します。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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