みなさんこんにちは。
本日は、ホライモリの生態についてまとめていきたいと思います。
ホライモリは地殻変動など、長い歴史の過程で特定の動物が封入され、独自の進化を遂げた「洞穴生物」です。
地球の歴史でも類を見ないほどレアな生物群で、両生類としては極めて異例な種類となります。
熱帯魚などに詳しい方は「ブラインドケーブフィッシュ」などが思い当たりますよね?
今回は、そんな貴重な動物であるホライモリについてのポイント、
以上7個の点についてお伝えします。
それでは、ホライモリの写真(画像)を見ていきましょう!
目次(クリックで飛べます)
ホライモリの写真(画像)!特徴や性格は?絶滅危惧種なの?学名や英語でなんていうの?
写真がホライモリの野生個体です。
ホライモリは一言で言うと例外中の例外の生き物です。
他のイモリの常識は全く通用しません。
まず外見ですが、光のない洞窟で進化し続けたので眼球が完全に退化し明暗しか分かりません。
紫外線から身体を守ることもなく、メラニンが完全欠乏し色素細胞もほとんど消失しています。
ホライモリは退化した視覚の代わりに嗅覚、触覚、そして電磁波を頭部で感じることが可能です。
口腔内も独特で、わずかな有機物も栄養源とし逃さないよう櫛状の歯をしています。
そしてウーパールーパーの様に幼生のまま成熟し、外鰓を持つ幼形成熟(ネオテニー)です。
ホライモリは完全水棲種で外鰓の血液の赤さが目立ちます。
体内の血液でピンクがかる個体もいるほどです。
ホライモリの性格は非常にノンビリしており、動物としての欲がかなり欠如しています。
どんなに代謝が低い生き物でもある程度の行動欲が産まれますが、ホライモリは実に7年間周囲10m未満しか移動しないと言う研究報告がなされるほどです。
そんなホライモリですが人間による土壌汚染の影響で地下水まで汚染され、徐々にその姿を消しつつあります。
国際保護機関ICNUのレッドリストでは、絶滅低危険種よりのVUカテゴリーですが、生息域が極めて限定的なので早急の保護が必要でしょう
ホライモリの学名はProteus anguinus、英語では固有名詞であるOLMと呼びます。
次は、ホライモリの生息地(分布)をお伝えします!
ホライモリの生息地(分布)はどこなの?日本にいるの?どこの水族館にいる?
写真は唯一メラニン色素を持つ亜種Proteus anguinus parkeljです。
ホライモリはヨーロッパに位置するディナル・アルプス山脈にあるカルスト洞穴の完全固有種です。
この洞穴群はスロベニア・クロアチア・ボスニアヘルツェゴビナにまたがり、事実上この3国にホライモリは生息します。
スロベニアのチュルノメリ地方の半径50km圏内に唯一の亜種Proteus anguinus parkeljが存在します。
このホライモリの亜種は、例外的に薄い墨汁のような色素を持ちます。
ホライモリが見られる施設は国内では一箇所のみ、愛知県の碧南海浜水族館です。
2005年に行われた「愛・地球博」後、クロアチアから寄贈されたのが由来です。
次に、ホライモリの大きさと寿命をお伝えします!
ホライモリが成体になると最大でどれくらいの大きさ(体長)に成長する?寿命は?
写真は鍾乳洞に生息する成体です。
ホライモリの最大全長は40cmです。
ただこれはかなりの例外で、通常は全長20〜30cmです。
寿命については長い間生物学者で議論が行われていました。
洞穴生物ということで調査には赤外線などの不可視光線を使うほど、その追跡調査の困難さが理由となります。
従来ホライモリは約58年の寿命とされてきました。
近年の研究では性成熟に14年かかることが明らかになり、それに加え機材の発展により詳細な調査が可能になりました。
その結果ホライモリは平均68年、最大100年を越す寿命をもつことが明らかになっています。
次は、ホライモリの飼育(飼い方)方法をお伝えします!
ホライモリの飼育(飼い方)方法は?食べ物はなに?どう餌やりすればいい?
生息国の天然記念物なので飼育は不可能です。
研究機関による飼育環境は極めて特異なものとなります。
ホライモリはメラニンを持たないので光の類は皮膚を癌化させます。
ある程度の光は耐えますが、現地国家では完全に光を遮断した室内で飼育するそうです。
フィルムカメラなどの現像室を想像すると分かりやすいでしょう。
ホライモリは洞穴生物であり、しかも有機物を含有しない地下水で暮らしています。
飼育下では現地洞窟由来の成分を含んだ水質を維持し、水温は氷点下にならず二桁にならない温度…つまり0〜9℃が適温です。
ホライモリは群生生物でもあり、自然下では岩場などに数匹が固まり身を潜めています。
ただし繁殖可能なオスは例外で縄張りを持つので単独飼育をする必要があります。
ホライモリは嗅覚や電磁波で餌を探し当てます。
食性は完全肉食で、ごく小さな甲殻類や他の洞穴生物、有機物群の塊を丸呑みする捕食スタイルです。
餌自体に出会うことが極めて少ないので、極端な飢餓に耐える特殊な代謝サイクルを持ちます。
ホライモリは食いだめが効きます。
獲物の余った栄養は肝臓へと運ばれ、脂質やグリコーゲンといった物質に変換され体内に貯蔵可能です。
このため何と10年もの絶食に耐えることができます。
飼育というとまず餌やりが課題のように感じますが、本種の飼育に関しては餌やりは重要ではないのです。
逆に頻繁な給餌は命取りになるので、どの飼育施設も重要視していません。
次に、ホライモリの繁殖の時期や産卵の時期をお伝えします!
ホライモリの繁殖の時期や産卵の時期はいつ?
ホライモリは完全な卵生種です。
性成熟までに14年を要し、産卵自体が約10年に一度とスローペースで子孫を残します。
洞穴内は日照・水温等の環境変化が乏しく、産卵自体の研究も時間がかかるため不明瞭な点がたくさんあるのです。
近年の報告ではちょうど5月ごろに、ホライモリの10年ぶりの産卵が確認・報告されています。
一度に10〜60個ほど岩陰に卵を産みつけ、孵化日数は140〜150日ほどと約半年近くの時間を要します。
幼生の成長は水温に依存しますが、約4ヶ月ほどで親と変わらない姿にまで成長を遂げます。
次は、ホライモリとウーパールーパーの違いをお伝えします!
ホライモリとウーパールーパーの違いはなに?
ホライモリは有尾目ホライモリ科ホライモリ属の一属一種の両生類です。
これに反しウーパールーパー(メキシコサラマンダー)はトラフサンショウウオの仲間で、タイガーサラマンダーなど分類上の近縁種が多く存在します。
両者とも色素欠乏、白い姿が顕著ですがあくまでウーパールーパーは人為的に固定された体色です。
ウーパールーパーの野生種は大理石の様な模様をしており、この点でもホライモリとは大きな違いがあります。
寿命(ウーパールーパーは5年ホライモリは100年)・繁殖サイクル(通年産卵と10年スパンでの産卵)・生活の場(ごく普通の池や沼と光の届かない洞穴に生息)・視覚の有無など、違いを話すとキリがありません。
逆に共通項はどちらも野生種は希少性の高い生き物ということです。
そしてホライモリもウーパールーパーも甲状腺のホルモンを阻害することで、幼生のまま成熟する体内機構を持ち合わせます。
外鰓があるのも同じですが、ホライモリは別命「竜の子」と言われるほど身体が細長く、四肢は身体を軽く支えるほどにしか使いません。
ウーパールーパーはどちらかと言うと寸胴でずっしりとした体型を持ち、前脚で餌を口にかきこんだり、後脚は産卵の際水草などをしっかりと掴むことが可能です。
それでは最後に、ホライモリの販売価格や値段をお伝えします!
ホライモリの販売価格や値段はどれくらいなの?ぬいぐるみは販売されているの?
生息国で天然記念物に指定されているので、お金の絡む商取引は「国際犯罪」となります。
ホライモリの価格・値段は「なし」と言えるでしょう。
万が一流通したとして、給料の全てを飼育設備・環境に費やしたとしても、確実に資金不足でしょう。
スロベニアのボストイナ地方にある世界2位、ヨーロッパ最大の鍾乳洞ではホライモリのぬいぐるみがお土産として販売されています。
その他個人でフェルト細工などで精巧なホライモリを作り、ネット販売してる方もいますが、この鍾乳洞で手に入るぬいぐるみが一番王道ではないでしょうか?
ただ最近のショップではオオサンショウウオなど、一般的にニッチな生物のぬいぐるみも販売しています。
もしかしたら国内でも局所的に販売されているかもしれませんね。
それでは、今回お伝えしたことをまとめていきましょう!
ホライモリのまとめ!
いかがでしたでしょうか?今回お伝えした重要なポイントは7個ありました。
覚えているでしょうか?1個ずつ振り返っていきましょう!
①ホライモリの写真(画像)!特徴や性格は?絶滅危惧種なの?学名や英語でなんていうの?
洞穴生物であり色素が欠乏した真っ白な体色、ネオテニーの形態、極端に退化した目が特徴です。
細長い胴体に四肢は申し訳程度についており、一属一種に分類される稀有な動物です。
性格はとにかくスローペース。ほぼ動かず泳ぎません。
学名はProteus anguinus、英名はOLMという固有名詞です。
②ホライモリの生息地(分布)はどこなの?日本にいるの?どこの水族館にいる?
クロアチア・スロビア・ボスニアヘルツェコビナの洞窟・鍾乳洞など、地下水由来の水域に生息します。
国内では愛知県碧南海浜水族館のみホライモリを飼育・展示しています。
③ホライモリが成体になると最大でどれくらいの大きさ(体長)に成長する?寿命は?
最大サイズは40cm、寿命は平均68年、100才を超えることもあります。
ホライモリは一昔前は58年が最高齢とされていました。
近年の研究により、環境次第では一世紀を越す寿命を持つ種類と判明したのです。
④ホライモリの飼育(飼い方)方法は?食べ物はなに?どう餌やりすればいい?
ホライモリは生息国の天然記念物に指定されているので飼育は不可能です。
国際間の商取引、特に個人間の商取引は完全に「密猟」となり「国際犯罪」となってしまいます。
餌は10年オーバーでの絶食に耐えるほどの粗食で代謝が極めて遅いのが特徴です。
同じ洞穴生物の甲殻類・貝類、時には迷い込んだ小さな昆虫・節足動物も食べています。
目は完全に退化しているので、餌の動きには反応できません。
聴覚・触覚・嗅覚をフルに活用でき、かつ頭部の器官で生体の電磁波等を感知し獲物を捕食します。
10年単位の絶食に耐えるので、飼育の要である「餌やり」の重要性が低く、考慮しなくてもいい生物なのです。
⑤ホライモリの繁殖の時期や産卵の時期はいつ?
ホライモリは観察しにくい場所に生息するので、綿密に言えば詳しいことはいまだ不明です。
ただ近年、10年ぶりの産卵が5月に観測されました。
繁殖・産卵期については報告が少なく明確な時期は言い切れないのが現状です。
⑥ホライモリとウーパールーパーの違いはなに?
ホライモリ・ウーパールーパーとも外鰓を持ち白い体色をしていますが、分類学上は全くの別種です。
ホライモリは一属一種のみで、ウーパールーパーはトラフサンショウウオ科に属し多くの近縁種がいます。
しかも野生のウーパールーパーは白くなく、ハッキリと大理石のような模様を持ちます。
その他、視覚の有無・寿命・繁殖の間隔等を比較すると、両生類であること・外鰓を持つこと・稀少さ以外ほとんど共通項がありません。
⑦ホライモリの販売価格や値段はどれくらいなの?ぬいぐるみは販売されているの?
生息国の天然記念物なので商取引は国際犯罪です。
従って価格は存在しません。
ホライモリのぬいぐるみはスロベニアのボストイナ地方にある世界2位、ヨーロッパ最大の鍾乳洞で販売されているものが有名です。
確認できませんでしたが、国内でホライモリを唯一展示している碧南海浜水族館ではホライモリグッズが販売されている可能性が高く感じます。
その他、個人で作成しWeb上で販売されている方もたくさんいますよ。
それでは今回はこれで失礼します。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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